作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

無題

行く夏を惜しむように、ここ何日か近辺で盛んに祭りが行われている。人をかきわけ車をせき止め、勢いのあるかけ声でリズムを取りながら、人波に押されて夕焼けに近づいていく神輿を歩道橋の上から見た。

まるで乱暴な海の生物みたいだ、神輿って。ムカデのようなアメフラシのような、足を沢山持つぬめぬめした巨大生物を想像した。人は泡の粒。建物は珊瑚礁。荒っぽく上下しながら、珊瑚礁の合間を縫って、海の泡にまみれながら傲慢に進んでゆく。
電話で話しながら家路を歩く。至る所、人で一杯だ。普段はネコも居ないような路地でさえ、人で溢れかえっている。路上に座り込む若者、お菓子を抱えて走り回る子供、酒気を帯びた男性、煙草の匂い、続くボンボリ、せわしない草履の音、それらが荒っぽく一緒くたに放り込まれて熱気を放つ。乱暴であからさまで危険で力強く強烈な夏が終わるんだ。



夜は虫の声が優しく忍び寄ってくる。一年中、鈴虫には鳴いていてほしい。


メシも喰わずに、と言いますが、最近メシのことが頭に余り無かったので、これではいかんと先ほど冷やし中華を食べました。矢張り冷やし中華は美味しいです。有り難いです。素敵です。秋になっても冬になっても食べたいです。暑いのよりは寒いのが割と平気です。秋は淋しくて大変です。



早く慣れきってしまいたい。喪失に。違和感に。体内音に。意識に。雑音に。静寂に。諦めに。他人に。不在に。