作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

やっぱ音楽はおもろいから、そのへんとか書く。

今更ながら、myspaceが気に入っている。
音がいいし、(人によっては)フルコーラスが聴けちゃう。
ライブハウスのサイトを見ていて、ちょっと気になった人を見つけたら即座にmyspaceへ行く。みんな持ってるmyspace。殆ど居る。誰でも居る。ドビュッシーだってショパンだってバッハだって居る。時間も空間も此処では並列で、録音環境ですら歪められていく。300年前に大聖堂で演奏された音楽と、昨日に4畳半で産まれた音楽が同列に並ぶこの状況は、理想郷なのかカオスなのか。あらゆる音楽が一冊の百科事典に収められていくようすを見ているかのようです。



中島ノブユキ
(http://www.myspace.com/nobuyukinakajima)

私には、スペインのショパンと呼ばれたフェデリコ・モンポウを溺愛していた時期がありました。あるとき訪れた新宿タワーレコードのアヴァンギャルド・コーナーの試聴機にて、モンポウのカバー曲を数曲含む中島ノブユキのアルバムを見つけ、日本にもこんな人が居るのかと嬉しくなったものでした。それはモンポウの叙情性を十分に残した上での完全にオリジナルで端正な室内楽でした。
それから数年が経ち、知人が誘ってくれた公開リハーサル(菊池成孔さんのバンド「ペペ・トルメント・アスカラール」)を観に行くと、アレンジャーとして中島ノブユキさんが大谷能生さんの隣に座っていました。背後の空き席に忍び寄り、中島さんの持っているスコアを斜め後ろからガツガツと盗み見る私・・・がっつり書いてますな・・・うらやましかったです。清潔でちょっと哀しい、誠実な中島さんの音楽がそのままで立ち昇ってくるようなスコアでした。
myspaceに発表されている楽曲の中では、Waltz of Autumnが物凄く(これはよっぽど)好きです。おそらく本日の再生回数は私がトップです。ボビー・マクファーレンを思い起こさせるメロディのスキャットが瑞々しく染み込んできます。


原田知世
(http://jp.myspace.com/haradatomoyo)

アルバム「I could be free」から「ロマンス」を聴いて一発で気に入って、その後しばらくしてから再会した同級生と「カラオケ行こうぜ」「いいよ」「歌、得意?」「けっこうね」「是非聴きたい!」当時の私はいまから思えば歌がめちゃくちゃ下手(全くカラオケ慣れしていない)だったにもかかわらず、原田知世の「ロマンス」を気合と愛情だけで歌って同級生をひかせた、という思い出があります。


高野寛(HAAS)
(http://www.myspace.com/haas1964)

今まで一人にしか言っていなかったことを、今こそ明かそう。
高野寛は、中学高校時代、私にとってただ一人のアイドルであった。
「虹の都へ」「ベステン・ダンク」
このへんの流行った曲を導入として、アルバムを「CUE」から繰り返し聴き込み、新譜が出たらすぐさまゲット、しばらくの間は高野寛しか聴かなかった。当時の私にとっては、音楽・イズ・高野寛
去年らへん、新宿ピットインへ行った際、ふと視線を投げた先にお客さんとして飲み物を片手にした高野寛(高田蓮さんが出ていたから、その関連なのだとおもう)をトイレの前で発見したときには、本当に本当に驚いて、恥ずかしくなって、速攻で逃げた。中学時代に穴があくほどまじまじと見ていたCDジャケットの写真(高野寛の鼻の穴の形が好きだ)の「中の人」が、目の前にスポンと抜け出て同じ八重歯で微笑んでいるのだからむりもない。
緒川たまきさんと一緒にやっていたNHKの「ソリトンsideB」もよく見ていた。今年のスパークス東京公演の際に緒川たまきさんとお会いしたときは少し嬉しかったが、当然のことながら緒川たまきさんは高野寛ではなかったことにガッカリした。
だがしかし、好きなミュージシャンの中でも、バッハやビル・エヴァンスはさすがに死んでいるが、キース・エマーソンは生きているのだ。地球のどこかで。そして会えるかもしれないのだ、いつかもしかしたら。
キース様が私の音楽を聴いて何を思うのかを知りたい。


トッド・ラングレン
(http://www.myspace.com/toddrundgrenmusic)

いわずもがな。



秋って、やたら音楽に合った季節だと思いませんか?朽ちる冬へと向かう気候が、”音楽”の持つ性質と合致する気がしてなりません。とか言いつつ、高野寛のアルバムを初めてパソコンに突っ込んで、ちょっとにやにやしたり・・・でも音質は、高校時代から使っていたVictor製コンポのほうが良いような気がしてしまった今日このごろのモニタはGENELECのチビなんだけど、だめかなぁ。でもなぁ、アナログの切実なかんじって、どうしても代え難いものとして、あるよね。




やっぱり音楽は良いよ。とんでもなく良い。好きな音楽を聴いて思うことは、私が音楽を愛でているのにもかかわらず


音楽がまるで私を愛でているような


そんなふうに、音楽に愛されていると錯覚する瞬間が、もしかしたら一番の悦びなのかもしれないです。