作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

ブログ更新 物語を手に入れました。

小説を読めなくなったのは一体いつのころだったのか、もう思い出せないくらい長い時間が経っていた。


月曜日は仕事帰りにプールで泳ぐのが最近の習慣となり始めたのに今日は何故か気乗りがせず、冷たい雨の中を本屋へ向かった。川口淳一郎先生の『はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話』を手に入れるためだ。今月の10日に発売していたのは知っていたが、週末が忙しくて若干遅れをとってしまったようだ。平積みにされた川口先生の著作を手にとり、少し安心して、同じく平積みになっている知らない小説に手を伸ばしてぱらぱらとめくってみる。
小説、他人の物語、わたしはいつのころかそれに支配されることを極度に恐れるようになり、やがて触れなくなっていた。小説、他人の物語、現実よりもずっと整理された他人の人生を覗き見する行為は、突然にすとんと落ちてきて、思ったより滑らかに手のひらへ収まる。小説、他人の物語、それが現実であってもそうでなくても、自分の物語でないことに変わりはなかったのに、何故、自分と他人とを混同してしまいそうだったのだろう。
ふとしたきっかけで再会してしまえばあっけないもので、懐かしい思い出話もできそうだ。もうきっと怖がらなくても大丈夫でしょう。物語を手に入れました。