作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

お誕生日おめでとうございます、先生

先生

すっかりご無沙汰しておりますが、お元気でしょうか?昨年末に送らせて頂きました年賀状、今年も届きましたでしょうか。
思えば先生には音楽大学受験の頃からずっとお世話になり、和声のワの字も知らない頃から、作曲のサの字も知らない頃から、親切に教えてくださったことを今でも鮮明に覚えています。そんな優しくて素晴らしい指導に恵まれていたにもかかわらず、私は幾度となく一方的に不機嫌になり、先生にたてつき、果てはうっすらと涙を浮かべながら、音楽の神秘について言葉で教えてくれない先生に腹を立てたこともありました。そのたび困ったような笑い顔を浮かべ、いつも私を勇気づけてくださり、「神様はそんなに意地悪じゃないよ」と慰めてくださいましたね。言葉で説明が出来ない力が、音楽の中には既にあった・・・そのことを教わりました。
受験時代に足しげく通った先生のご自宅、レッスンルームに差し込む西日とともに、その言葉を思い出します。私が今でも音楽を続けていられるのは先生の教えのおかげとしか思えないし、心細くなったり迷った時にはレッスンの風景が頭に浮かんできて、私を勇気づけてくれています。
いつも音楽に対しては厳しかったけれども優しい言葉をかけてくださった先生、いま現在、音楽のジャンルは違っても、音楽に対する先生の真摯な姿勢が今でも私の中に確かに在ります。教わったいちばん大切なものをいつまでも忘れません。先生、53回目のお誕生日おめでとうございます。あなたはいつまでも、私のいちばんの先生です。これからもお元気でいてくださいね。


とみやま