ベランダから音がしたので窓越しに覗いたら、植木鉢が床に転がって土が散らばっていた。
風が強いんだ。
毎日朝は早いし雪は降るし何かと忙しいしで体調を崩し、今日やっと休まざるを得なくなって、ずっと横になっていた。
普通に働くことすら、ままならないんだな。
心は疲弊するばかり、後悔は積もり重なるばかり、体力は落ちるばかり、くたびれるのは人間だから仕方が無いよ。
もし自分と同じような人がいたら、くたびれるのも傷つくのも落ち込むのも、君だけのせいじゃないって言いたい。触れただけで痛む心を、傷つきやすい体に備えた人間として生まれ、その機能を懸命に使っている証じゃないか。そのじつ、同じことを一番に自分へと言ってやりたい。
ああ、そうか。今、わたし 泣きたかったんだ。
歌うのなら、いつでも本気で歌うしかないんだろうな。今ならあの曲がいつよりも上手に歌えるはず。
続けるのなら、歌っていくしかないんだろうな。会話をするのは苦手だし、なら歌いなよ。
わたしはこの小さな画面の向こうから君に呼びかける。
君はこの小さな画面越しに、わたしの考えを知る。
わたしはこの小さなスピーカーから君に歌っている。
君に理解してもらうことが目的ではなくて、
君の考えるその先を見に行くために。
夕立
風にあたって自分が飛ばされそうだから、避けて暮らしている。