作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

渋谷ガラパゴス街

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(この写真はインターネットから転載したものです)

 

先日、ライブの帰りに渋谷のセンター街を歩いていた。時は22時。普段であれば、静かな住宅街で寝る準備をしている頃である。

金曜日の夜だから、仕事が終わって飲み会を終えた人たちで道は溢れ帰り、次の店へ行こうと気炎を上げる若者の声は大きい。

 

あ、こういうの、最近見ていなかったな。

 

こちらはといえば通勤は自転車、趣味は園芸と読書、用が無い限り電車にも乗らないものだから、その街のさまは祭りの狂乱とうつった。祭りではない、これが日常だった頃が私にもあったような気がするが、刺激的な記憶は日々薄れていく。

 

欲望は進歩の原動力、と思っていた。人類が進歩していくために欲望が必要なのだと。だがビルに囲まれてゴミだらけで汚水の匂いがする盛り場に居ておもう、人類にとってこれは必要な進歩なのだろうか、と。

休み無く回転した結果の疲弊を、欲望の成就と錯覚していたのではないか。心が壊れる人たちが激増しているのも、その結果なのではないか。

 

むかし都市部に勤務していた頃、そこに会社があるのだから仕方が無いと思っていた。狭い東京でぎゅうぎゅうになって、みんな同じようにしているじゃないか。同じように出来ないわけはない、って。
ただ、自分がみんなと同じようにして平気でいられるかどうかは別だ。人には向き不向きがある。心を壊さぬためには、何かを諦めなくちゃいけないんだろう。便利さや、お金を手放しても守らなければ生きていけないものを、人はそれぞれに持っている。


私の好きな、日本に来た外国人にインタビューをするTV番組で、外国人が渋谷スクランブル交差点でPVの素材撮りをしていた。やはり珍しい光景なのだろう。古くからいわれてきた日本独自の「幽玄の美」や「静寂の間」なんてどこにもない、独自に進化したここは都市・東京だよ。