作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

永続する、存在しない存在への思慕 ~Eternal longing for nonexistent existence.

いっそのこと全て薙ぎ倒してくれればいいのに、という願望と
どこまでも優しくあってほしい、という我儘は
軽々と頭の中で共存する。

 

アンドレス・ベエウサエルト

 

マイ・ブラッディ・バレンタイン

 

Saudade=郷愁、憧憬、思慕、切なさ、と訳されるそれは、
行っていない場所や過ごしていない時間や出会っていない人々にも適用される。

永続する、存在しない存在への思慕。

置いてゆかれたSaudade。隣の芝生とも言う。

 

訥々としたリズムに千変万化のハーモニーを乗せて歌うミナスの人々は、どのようにその音楽言語を獲得したのだろう。ミルトン・ナシメントトニーニョ・オルタ、クリストフ・シルヴァ、イヴァン・リンス、そして上記のアンドレス・ベエウサエルト。近代フランス音楽のG.フォーレにその源流を垣間見るような気もするけれども、もっといびつで淡いが輪郭はハッキリした陽射しを感じる。それは楽器の音色と打楽器の働きによるものが大きい。