作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

その先にあるものは

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また1人、お友達が音楽活動を辞めるとの知らせ。

「音楽くらい、また簡単に始められるでしょう?わざわざ辞めるとか言わなくてもいいのでは?」
なんて言わないで。
真剣に活動をしていた人ほど、真剣に辞めることを考えて静かに実行する。またいつか、とは思えないくらいに、やり切れたと言えるかもしれない。そのくらい完全燃焼出来たのは幸せなことにちがいない。

最近、表現って果たして仕事なのかな?と思うことがあった。役者さんや歌手のように、他人が作ったものをプレイする行為は仕事といえるし、頼まれて作曲するのも仕事だと思う。でも自主的な表現活動は、誰にも頼まれていないから、もしかしたら仕事と言わないのかもしれない。
仕事とは、他人の頼みを聞くこと。他人の願望を叶えること。それはどんな仕事でも同じだ。

誰にも頼まれなくても表現がしたかったら、誰だってすれば良いと思う。そうすることでようやく生き延びられる人もいるのだから。自分は表現活動をしなくても、命がけで表現されたものに触れることで、ようやく生き延びられる人もいる。仕事としての取引外で、表現をしなくては滅びる人たちと、表現に触れなければ滅びる人たちが、なんとか人の形を保っていけたのだ。ギリギリであることは、とにかくしんどく、でもいつの日か振り返ってみて、そんな時代もあったのだと、いつもの優しい顔で微笑んでいてもらいたい。

できるならもう一度会いたかった。