こないだふらっと立ち寄った、箱根にある”関所からくり美術館”のことを思い出した。
箱根寄木細工の作品が、一般公募みたいなかたちで大量に展示されている。
開きそうで開かない箱たち。
挑戦してマゴマゴしている人々。結局開かなくて放棄する人々。
挑戦台のかたわらには、係員の札をつけた理系っぽいメガネ女子が立っている。
彼女は、これらの箱の開け方を全て知っているのだろう。
ケーキの形をした小箱に挑戦していると、
「それは良い試みですね」とか
「ヒントは、コンッて感じです」とか
ちょくちょく声をかけてくれる。が、不器用な私ではモタモタするばかりで開かない。
彼女は今にも駆け出しそうである。手を出したくてたまらなそうに見える。
こちらもたまらず、
「見てるとイライラするでしょう」
と冗談半分で言ったら、笑うばかりで否定しなかったので、多少なりともそういった気持ちがあるのだろう。
私だったら、きっとイライラしてしまう。
仕事柄、わからない人に教えることが多く、よく思うのは、
まさかこれはわかるだろう、とこちらが思っていた以上に相手がわかっていなかった場合に、どう教えたらわかってもらえるのだろうということ。
わかってしまえば何度でも箱は開けられるけど、わかってしまうと、わからなかった頃の気持ちを忘れてしまう。
また、「こうやって開けるんですよ」と手本を見せるのは一番簡単な方法だが、開け方を気づかせる誘導・・・?は、とても難しい。ヒントを出したり、違う言い方で言ってみたり。
そのときは気づいてもらえなかったけど、しばらく時間が経ってから「先生、わたし出来ました」と言ってきたり。
自分一人で理解したと思っているが、それはずっと前にこちらが仕込んでおいた種なんだよ?と、ほくそ笑んでみたり。
わかるようになることは、本当に面白い体験だなぁ。と、洗濯物を干しながら考えた日曜の朝。