作曲家・富山優子 音に言葉

日々之音楽・思考・言葉

音の雲 〜SOUND CLOUD 冨田勲

冨田勲さんの著作を読んでいます。


生い立ちから最近の活動まで、氏独特の柔らかな語り口で綴っていらっしゃいます。
モーグシンセサイザーの多重録音で制作された作品『Snowflakes are Dancing』は、ドビュッシーのピアノ曲を複数のパートに編曲したものを、モーグシンセサイザーで演奏しています。






これを初めて聞いたとき、「音色に音楽が含まれている」と思いました。本来ならばそこは、ピアニストがピアノの音色変化で表現すべき音楽の内容が、シンセサイザーで作られた音色にて表現されていることに驚きました。聴き親しんでいるはずの楽曲たちが、まったく新しい響きで、同じ意味を奏でているのです。
また、あまりにも原曲のピアノ音色のイメージが強すぎて、予測して聴くと時に度肝を抜かれるような音色も使われているのですが、それがかえって楽曲に物語の奥行きを付加しているような気すらします。


従来のオーケストラ楽器を使うのではなく抽象的なシンセサイザーの音色を使うためには、音色に音楽の内容を含めることが一つの表現方法だったのですね。




つい先日に81歳のお誕生日を迎えられた冨田勲さん、いつまでも好奇心旺盛で飄々としたお姿が、とても魅力的です。いつかお話してみたいです。